俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
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「許されざる者」悪くはないけど物足りない
仕事が大変忙しくてごぶさたまんもすです。
今もやらなきゃいけないことはあれど、ちょっとこれだけは書かせてください。
「許されざる者」です。
前作にそれほど愛情を持っていない私としましては、日本版はむしろ、それをカバーしてくれるものかも知れないという期待もありましての鑑賞です。
て゛、最近よくあるのですが、見た瞬間は満足、後に、だんだん腹が立ってくる。
うーん、いかんいかん。だってインデペンデントでがんばっているオフィスシロウズさん制作プロダクションですよ。
ワーナーと組んでの大作ですよ、応援しなきゃ。

なので、愛のあるダメだしとして聞いてください。しかも、完成しないとわかんないことはいつものように棚上げです。

さて、李相日監督の「フラガール」を見た時に、違和感を感じたのですが、その時は同じ炭鉱ものの「にあんちゃん」を見て、この泥臭さや空気感がないのがその原因だと感じたくらいで、それ以上追求しませんでした。
今回もその違和感があるのです。で、わかったのですが、それは弱者への視線のディティールです。「にあんちゃん」に妹の教科書を買えない兄がふてくされて映画館に行ってしまおうとする描写があります。「映画館行けるお金があるなら」とたしなめられます。こういう人の変な弱さ・ずるさのようなものがない。
ここに出てくる弱者といえば、女郎たちとなるのですが、女郎という記号に安住してしまい、その過酷さを描く事がないせいか、復讐、権力への反逆のエネルギーが現れてこないのです。これが三池監督の「十三人の刺客」ではそこまでするか的な残酷な描写があるから、エンジンがかかります。

脱線しますが、最近、親のクルマを壊してしまいまして、その壊れたクルマを保管していた整備工場から税抜きで25000円の駐車代の請求が来ております。聞くと1日5000円だと言います。ですが、クルマを壊した瞬間に人には、保険やクルマ本体のことで頭がいっぱいで1日5000円の駐車代なんてそれから比べれば微々たる問題なわけでその瞬間はスルーしてしまいます。「わかりました」と言ってしまいます。
でも、あとから請求が来た時に、整備工場の駐車場がある武蔵小杉からクルマで5分も行かなきゃいけない場所に保管してて、1日5000円って何だよと思うわけです。うちの近所なら1200円打ち切りで24時間停められると。
今で言えばこんなことに近い感覚で、それを仕切る人の言う事にのせられて、この女郎たちは連れてこられたんだと思うんです。
この作品と「フラガール」に足りないのは、こういう感覚ではなかろうかと思うのです。

渡辺謙が植えた食物のひとつが実をつけていない=貧乏描写しました
土から思い出の品引っ張り出す=過去の自分を思い出しました
酒を飲む=完全復活
みたいなものに、映画を見慣れている人は何の驚きも感じません。
こういうものは積み重ねてもっと丁寧にやらなきゃいけないんじゃなかろうか。
さらに
女性の顔に傷つける=頭だとテレビに売りにくいから回想にしておこう
なのでしょうか、
破滅の美学は最近描かれないので賛同しますけど、なぜ、ここまでアイデアを出さなきゃ行けない所、エッジの効く所を避けなければいけないのか。

私たちはこの映画に出てくるキャラクターに「許されざる者」になって欲しいと願っているのに、遠くなっていきます。
こんなことを考えて、腹が立ってきてしまうのです。

 
【2013.10.12 Saturday 01:34】 author : koshiy2010 | 日本映画2013 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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