俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
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「希望の国」個人的に「肉弾」の正統な続編
正統っていわないか。笑
とにかく夏八木勲さんと大谷直子さんの芝居が素晴らしかった。大谷さんが放浪する後半を見て、「肉弾」の数学を解きながら走るシーンを思い出します。夏八木勲さんも「君のためなら死ねる」と思ったのでしょう。いずれも国家に翻弄される人々の話です。

音楽って、マーラーなんですか? 巨匠すぎる演出に「自殺サークル」から園監督作品を避けてしまっていた私には、「?」感たっぷりでしたが、日常と喪失が交互にくるあの感覚はなかなかうまいなぁと思いました。

強いて言うなら、本作で一般観客がとらえてしまうテーマ「愛があれば大丈夫」とか「生きていればなんとかなる」というようなものが、薄くて、私は実は、これこそがテーマではないと疑っています。

海(水)のシーンと対比するように現れる火のシーン、あんまり見ていないけどタルコフスキーなんですよね、きっと。火を贖罪と解釈すれば、「若い世代に責任をとろうとした大人世代の責任」を語っているわけですが、そんな深読みができる映画鑑賞者は今の時代にはなかなかいないですよ。追いつめられた悲劇としてしか見れない。

福島以後の民衆が原発事故を再び経験したら、ああいう行動はとらないとか、リアルさを追求する声などが囁かれますけれども、これは妄想映画・アート映画なんですよ、と言いたいです。だからキャラがそれなりに振り切ってリアルでなくていいのです。個人的には、もっと振り切って、本当はなんとかならない絶望とか切羽詰まった感じ、限界のようなものがむしろこちらにもっと強く顔を出して欲しかったと思っています。

とはいえ、園監督が原発問題にフィクションで切り込んでいただけたおかげで、あとに続きやすくなりました。さぁ、みんないきますか。この映画がヒットしてくれることを願っています。
 
【2012.11.08 Thursday 18:38】 author : koshiy2010 | 日本映画2012 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
あとから検索すると、同じような見方をしている人多し。やはりタルコフスキーなのね。こういう見方ができる人がいて、映画批評・映画感想の世界もまだ捨てたものでないと思いました。よかった。これこそ希望でした。
【2012/11/14 9:57 PM】 越坂 |
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