俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
「プラダを着た悪魔」
ストーリーは割と定番ですが、キャラクターのつくり込みのうまさに感動。なんというかとても自然でさりげない。これは奇跡的な驚きでした。普通シナリオ上でも実際の芝居上でも立たせすぎちゃうんですよ。主に出てくる6人が群像ドラマじゃないのにバックボーンが見えて、しかも観客が別にアン・ハサウェイに共感しなくても誰かに共感できるようにできている。これってやろうと思うんですけどなかなかできないんですよ。
「俺ならこう撮る」としては、アン・ハサウェイ演じるアンディが優秀すぎるかなとはやや思います。でもそういうキャラというか、女性が元気になるための映画だからそれはそれでいいのでしょう。あと、私個人としては、あくまでアナザーバージョンとしてですが、アン・ハサウェイがメリル・ストリープにこき使われながら、サイモン・ベイカーとちょっといやらしい人生にはまっていく姿も、それはそれで見てみたい気はします。これはもう何度か見て細かく分析したい映画です。デートムービーとして侮っている男性諸氏に特におすすめしておきたいです。
【2006.12.13 Wednesday 03:01】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(8) | - | - |
「トゥモロー・ワールド」
120億円も費用がかかっているとはあんまり思えず、むしろB級映画の作り方のお手本のようにも思えてしまいました。ですが振り返ってみると美術とかは相当やっていますからやはりかかっているのかも知れません。
新鮮なのはアクションシーンが長回しで攻めるところ、ちょっと村川透監督を思い出します。
個人的には題材として色々な要素が入っていて楽しめるので、商売としてもっと評価されてもいいんじゃないかと思ったりしますが、大劇場公開作の割に残念ながらちょっとお客さんはまばらな感じでありました。
「俺ならこう撮る」ですが、まずは本当に120億円あるならクライブ・オーウェン主演はプロデュース的な観点からいうとリスキーなような気がします。ですが、この映画には確かにあってはいるのでディレクター的観点からいうとストライクなんですよ、確かに。
いつものように結果論として二つくらいやれるとすれば、それこそ「ハリポタ」並みのVFX系の象徴的なビジュアライズショットがあればというのと、赤ん坊の話を強調して女性も見やすい映画のイメージをつくりあげることかなと。ここを深くしていくと、特に現代に通じるメッセージとして、大人は子供に何が残せるのかというのがあると思います。子供の生まれない世の中が子供に何も残せない世の中だということが、作品の根底にもっと流れると共感度が増すのかなと思いました。
ただその選択肢をわかっていながらあえてこのトーンで作りたかった監督の挑戦もわかる気もしますけど。
【2006.12.09 Saturday 10:11】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(1) | - | - |
「父親たちの星条旗」
戦争映画って作り方難しいです。特にアメリカでは自国が勝ってる太平洋戦争はイケイケになっちゃいます。
ストーリー紹介文では…(http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/title/mo4360.htmlより引用)
太平洋戦争の末期、硫黄島では日米軍による戦闘が開始されようとしていた。アメリカ軍は当初、5日もあれば硫黄島は落ちると目していたのだが、その予想は外れ、日本軍を相手に36日間もの死闘を繰り広げることになる。
って、クリント・イーストウッドが描こうとしていることを微塵も感じさせないまさに予想外のつくり。ここは配給会社の苦悩が感じられます。
つまり当る映画と映画のメッセージの狭間というのが、どんな映画にもあると思うんです。シナリオをつくる上でそのバランスを取るのにこの作品は時間をかけているなぁ、というのがひしひしと感じられる作品でした。
日本のこれまでの戦争映画だったら36日にこだわって、スーパーで「◯日目」とか入れちゃいそう。私でもやってるかも。(苦笑)
「俺ならこう撮る」としては、とはいえ、少し頂上制圧が唐突すぎるような気がしました。作品の訴えたいことからいえば一見どうでもいいことなんですが、作戦的苦戦感も訴求していいと思うし。セリフとかで少し入っている程度でいいと思うけど、名も無き人のドラマじゃなくなっちゃう可能性を一切排しているようでもあるので難しい選択なのでしょうか。
【2006.12.05 Tuesday 08:56】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(1) | - | - |
「ブラック・ダリア」
80年代、デ・パルマの映像は衝撃でした。今はそれが普通になってしまったのか、デ・パルマが自己模倣に陥っているまたは、新たな別のトライに気がいっているのか、あのワクワクした気分は最近感じられないです。とはいえ評判のいい「ファム・ファタール」とか見ていないので私の運が悪いだけなのかも知れませんが。
「俺ならこう撮る」では、これはデ・パルマの作品の中では「アンタッチャブル」に近いトーンを期待してしまいます。それならやはりあの階段のシーンのような名場面が欲しいところです。あとシナリオとしては、犯人の謎解きはわかるんですけど、結局バラバラにされている意味はわからないですよね? 憤慨するようなこともないんですけど、腑に落ちないようなプチ・タヴィンチ・コード状態で劇場を後にしました。
あと今の映画って画質が良すぎるからシルエット見るだけで髪のほつれとか見えちゃって、女性か男性かとかわかっちゃうんですよね。そのへんもこういったタイプの作品がつくりにくいのかなぁというのも感じます。うーん。
【2006.11.09 Thursday 17:44】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「マイアミ・バイス」
最近書き込みが完全に後追いになってます。すいません。

「コラテラル」のマイケル・マン監督ということでちょっと男っぽいハードな感じの作品を期待しつつ、元祖TV版の時代の空気があるようなものだったらいいなぁなんて思っていたんですが時代の空気は難しいですよね。
「俺ならこう撮る」としては、どうなんでしょう。正直20代くらいの女の子がかっこいいと思って駆けつける映画としては全然OKなのはわかりつつ、何かが足りないような気がして未だ解決できてません。私の頭の中を潜入捜査したい気分です。
確かに主人公たちには精神的なピンチが強調されてもよかったような気もしました。ジェイミー・フォックスは家族が襲撃されてかなりえらいめにあってるのに結構冷静ですよね(もう慣れっこになってるのか?)。コリン・ファレルの女好きなのが人間味とするのは定番すぎちゃって男側から見るとそんなに魅力的に見えない。「フォーン・ブース」の困っているコリンの方が好き。でもそれじゃあこの映画にはならないから、コメディリリーフなキャラがもう少し登場してもいいかもと思います。でもこれを解決したからって何か足りないが解決するとは思えません。うーん、何だろ?
ストーリーの展開は定番的ながら飽きさせません。またコン・リーの悪役っていい意味でVシネのアクション映画っぽい配役展開で嬉しいです。このコン・リーとの接点をどうスタートさせるかが注目でしたが、ナンパって…これは元祖TV版ぽいです、好き。
なんだかんだ言ってますが、今作るんだったらこの線なんでしょう。そういう意味では何の文句もないんですけど、「コラテラル」の演出的渋さの後で期待値が高まっていたものでなにか腑に落ちないものがあるということなんでしょうかねぇ。うーん。

【2006.10.14 Saturday 13:22】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(3) | - | - |
「太陽」
イッセー尾形主演作。昭和天皇の戦中戦後の様子を描いていて興味深いです。この映画の最初のイメージはスタジオ劇の印象だったのが、予告を見たら結構ビジュアルエフェクトなんかあって、もしかしたら大作?と思い、見たらやっぱりスタジオ劇だったというものでした。なので少し予告に騙されたかなという気持ちはありつつも、貴重な映画には間違いない気がします。
「俺ならこう撮る」としては、ストーリーがわかりにくい気がしました。ドキュメンタリー的な説明を入れるのは、この作品にはふさわしくないのは承知ですが、夢の空襲シーンで戦中と戦後をわけるのは強引かなぁ。ステレオタイプに終戦を感じさせる映像って日本人にとっては、広島原爆か天皇のラジオ放送だけど、これらが伏線として語られずにラストにナレーション収録をした技士が自殺したなんて話をしてもぐっとこないんですよ。
ワンシーンごとの緊張感とかディティールがすごいのがうまくつながってこない。もったいない。ラジオ放送ではじまってラジオ放送で終わるとか、何かしら作品をまとめあげるよりどころを入れたくなります。
まぁ、でもそのちぐはぐさがこの作品の魅力のような気もしますので難しいところですが。
【2006.10.03 Tuesday 22:25】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「僕の、世界の中心は、君だ。」
「セカチュー」の韓国版。ま、比較するとこちらの方がストレートなつくりで、いきなりオーストラリアとかにならないのは高校生らしい規模感。ただ日本版の方がミステリー色もあるのでエンターテイメントとして、やはり貫禄がある気がします。学校でマドンナ的人気のソン・ヘギョが平凡なチャ・テヒョンのどこに惚れたのかもちょっとわからないし。
すでに日本版があり「俺ならこう撮る」として評するのは微妙なので、この場合はもうすでに出来上がった韓国版を日本向けに直すという観点から考えてみたいと思います。
もし俳優を入れない形でも追加撮影が可能ならオープニングクレジットを新設して海まわりの空撮映像などを背景に巨済島をあらかじめ売っておきたい。ここで平井韓国版ソングを流して「セカチュー」気分を先に醸成するのが得策だと思いました。
俳優をナレーションだけでも使えるなら、「思い」の映画なのにちょっと日本人向けとしては淡々としているというか乾いている感じがしますので、そこにチャ・テヒョンのナレーションというのもありかも。そうするとオープニグの入れ場所はちょっと難しくなりますけど。
逆にソン・ヘギョのナレーションというのも面白いかも知れません。日本版を見ている人にとっては「死なないかも」というサスペンスでその後を引っぱれる気がします。
作品として悪くはないんだけど、日本版見ている人間にとっては文化比較して終わっちゃう気がしちゃうんですよね。広告としては便乗して作品としては独立して見て欲しいというのが理想だとは思うし、クリエイターも苦労してがんばっているとは思うのですが、ほんとはこういうのはのっかっちゃって、日本版を見ている人しかわからないユーモア(島の忘れ物箱の中にウォークマンがあるとか)が1箇所くらいあってもいいような気がします。
【2006.09.17 Sunday 15:44】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(7) | - | - |
「ユナイテッド93」
うわぁ、これってすごい映画。ある意味一部を想像したフェイクドキュメンタリーなつくりで、記憶が正しければ全編手持ちでしたね。タイトルも飛行機パニックもの「エアポート75」のように数字を最後につけるというのが、それだけでまずは好印象。これはエンターテイメントと現実という逆説的に読み込む意味もあるかもです。
「俺ならこう撮る」ってホントはあんまりないんですが、そんなのばかりだとこのブログの存在が危ぶまれるのであえて考えると、主張しないことへの危うさはあると思います。
乗客の過剰なヒューマンドラマにしないあたりがこの映画のクリエイターたちのすごい点なんですが、アメリカの観客はきっと乗客に思い入れて見るだろうし、イスラム圏だったら犯人たちから自己犠牲の中での葛藤を見るかもです。それでこの映画のクリエイターたちの伝えたいテーマというのが観客に伝わったことになるのか?というのが残ります。
犯人たちが死の直前に自分たちの教えに疑問を持つ瞬間があったり、乗客の一人二人は、アメリカ外交のつけを自分たちの命で払うことに憤りを感じたりなんてフックがあるともう少し多彩な見方ができると思うんですよね。ただそれをこの企画に加味するのは商業映画としては奇跡に近いかも知れませんが。ともかく必見。
【2006.09.11 Monday 13:31】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(3) | - | - |
「M:i:III」
わかっちゃいるけどうまいのは確か。
導入をトラブルではじめて、息つかせぬタイトルワークとか。シナリオの設定や伏線もうまいし。チーム化したりバリエーションもうまくあげてるし。
「俺ならこう撮る」ってないですね。シリーズの流れをおさえながらここまでできるって完敗です。習いに行きたいくらいです。
【2006.09.03 Sunday 17:29】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「カーズ」
広告的にはファミリーもののようにも映りますが、つくりは青春映画といった方がいいかも知れません。
何より硬そうで柔らかいあのCGの動きが絶妙。隙のない安定感のある面白さです。
(ちなみに同時上映の短編も面白かったです)
「俺ならこう撮る」的に1カ所気になるのは、ライトニング・マックィーンが町の裁判にかけられるシーンでサリーの行動でしょうか。
ドック・ハドソンや町のクルマたちのキャラクターを悪いクルマに見せたくないために一端は釈放を決めかけたところにサリーが登場して舗装工事の罰という流れにしていますが、これだとライトニングにとってのサリーは美しくても単なるやっかいな女でしょ?私がライトニングだったらもっと怒っちゃうけど。ここではむしろもっと町にとって意味のない罰をサリーが変えるという風にした方がいいと思います。
心情的にはもしかしたら、やっかいな女から愛するという変化をシナリオで狙っていた可能性はあるのですが、あんまり効いてないので、ここは田舎町の中で都会者をフォローするヒロインとして登場させてもいいのかもとも思います。
でもおすすめです。
【2006.07.20 Thursday 23:47】 author : koshiy2010 | 外国映画2006 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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