俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
「チャイルド44 森に消えた子供たち」と「ハイネケン誘拐の代償」権力者の描き方
「ハイネケン誘拐の代償」は噂ほどはサスペンスのない映画ではなく、なかなか見応えがあった。
しかしながら、テーマである「貧しいながらも仲間のいる世界」と「お金はあるが仲間のいない世界」、どちらも手に入れることはできないらしく、なかなか「まとも」な思想性で作られた映画だった。
まぁ、それはいいんだけど、最後にそのテーマを繰り返して主張するのはどうかと思う。
この映画の作り手たちは、きっとそこそこに生活できるレベルにお金を持つ人たちに違いない。主人公たちの悲劇に寄り添うなら、そんな言葉は、作品の中でふっと出くるだけの一断面でいいはずなのだ。また、逆に金持ちは、そんなこと言うけどさ、みたいに使うのが正しいはず。
権力者が誘拐された時点で、権力が犯人側に逆転するのが、この映画の面白さだ。その最悪状況の中で、アンソニー・ホプキンスがいかに狡猾に、犯人側を揺さぶるかが、きっと観客が見たい映画なはずだったのだろう。
あれでは、印籠を隠し持っている水戸黄門にすぎない。だから、観客はわくわくできない。折角いいネタなのにもったいない。

一方、「チャイルド44 森に消えた子供たち」は国家という権力構造の中で、あってはならないとされる殺人事件を追いかける話。まぁ、結局は権力に守られる形で話はおちつくわけで、なかなかのやるせなさも残る。
ただ、本作の素晴らしい所は、妻にとって、主人公は権力者であり、そこに気づかされることである。そこが新機軸だ。色々なレビューを読むと、スターリン体制の権力の行使が怖いだのグロテスクだのというものは見かけるが、正義だと思っている主人公自身が、その一部であると気がつくことに言及しているものはないようだ。
演出的にそれがうまくいっているかは、少し疑問は残るとはいえ、少なくとも主人公が、観客の代弁者として、未解決事件を追い出した時、彼は観客の中では、ヒーローになっている。そのヒーローが、「あなたとは結婚したくなかった」「秘密警察だから怖くて結婚した」なんて言われるわけだ。がんばってるのに。w
いやぁ、なかなか切ないじゃないか。
そしてまた、その妻も「○○と言えば、殺されないかと思った」と生きる知恵を、これこそ狡猾に発揮していくのである。だから、本作はいい。みんなグレーを持っている。「マッドマックス」も面白いけど、こちらのトム・ハーディの方が好きだ。
 
【2015.07.22 Wednesday 23:05】 author : koshiy2010 | 外国映画2015 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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