俺ならこう撮る

映画監督・プロデューサー越坂康史の「もしも」の偏愛的映画感想と日常。
「K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝」もしもの歴史も結果は同じ
まだ昨年シリーズ。

オープニングで第2次大戦がうまく回避された歴史が紹介されるわけですが、格差社会になっている結果は同じ、と皮肉さがまず目をひきます。

ただそういう毒素はその後は皆無で、まぁ、誰しもが楽しめるエンタテイメントという映画。
見どころは、やはり一直線に金城さんが走るシーンでしょう。一直線というアイデアひとつでオリジナリティ溢れるイメージが創出されることにうまさを感じます。また、町を見せるいい機会になっており、狭いセットで作られた寓話という感触をなくしてくれます。

「俺なら」としては、タイトルがなぁ、せめて「伝」はいるのかなぁ。つけるなら20年後に語れるようなダメ映画の要素を内包して欲しくもあるけど、それは見方としては邪道か。また江戸川乱歩への配慮の意図もあるんでしょうね。

いずれにせよ完成度は高し、佐藤嗣麻子監督が久々に手腕を振るった作品でした。
この作品のように、現実の格差社会にも夢が欲しいですね。

【2009.03.04 Wednesday 22:13】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「ハッピーフライト」これはホームドラマの進化系
いまだ昨年公開作書いてます。

よくできた映画でした。製作がアルタミラなので飛行場の内側モノテイストは間違えないんだろうなと。でも、それ以上が見られないと観客(というか私)の満足度は高くならない。同世代で楽しい娯楽作をつくっている矢口監督への期待感もあるわけです。
観賞後、直感的に思ったのは、これはホームドラマの進化系で、昭和40年代くらいまでつくられていた松竹の「喜劇○○○」みたいな作品の、家庭を飛行場に、家族をそこに働くクルーたちにシフトさせた作劇法ではないかと思いました。
不動産では「コンバージョン」とかいう言葉があるようですが、そういう再生法を映画でできることがわかって、それが何よりも面白かったです。

以前、ヘリコプターからめて撮影をしたことがあるんですけど、当日の風の向きでヘリの発着の方向が変わるんですよ。その発着の瞬間でヘリのアップを撮って、地上のクルマとカットバックさせて追跡シーンみたいなことをやろうとしていたので、方向性が変わるとクルマと同じ方向でヘリが飛んでいるという設定が絵で説明できなくなるんです。そんな経験を思い出してしまいます。

「俺なら」は、最初だけ航空パニック映画のようにもっと遊べばいいのにと思いました。
でも楽しい映画でした。
【2009.02.14 Saturday 18:43】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
「ICHI」「レッドクリフ」には負けるけどがんばってますよ
去年の作品をとりあえず。

印象としては、ひと昔前の不幸系アイドル映画の流れをもちつつ、VFXやアクションもある感じで好感触。ただ「レッドクリフ」とか見ちゃうと、その規模感で負け過ぎているのでせめて「あずみ」くらいのクライマックスが見たい気になってしまいます。

「座頭市」と綾瀬はるかさんという組み合わせは、クリエィティブ的にはぞくぞくするんですけど、「座頭市」を知っていて綾瀬はるかさんも知っているという世代は限られていて、「座頭市」ファンには亜流に見られ、綾瀬はるかさんファンには埃のついた企画に出ていると思われる。つまりは企画的な出発点としては苦戦を強いられる訳です。
それでも本当に内容的にはがんばっている作品だと思うのでDVDなどで活路を見い出して欲しい気がします。(若干ベタですけど、ちゃんとレイプシーンとかあったりするのはいいと思いますし、この時代に。)

「俺なら」としては、ただひたすらがんばって欲しいなとしか。
【2009.02.04 Wednesday 21:41】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「おろち」Sな木村佳乃が見れます
ごぶさたしてました。公開終了してしまいましたが「おろち」から。

お目当てな谷村美月さんは、役どころとはいえ狂言まわしなので魅力光る感じはうすいのです。
かわって、やりたい放題なのは木村佳乃さんで、Sな感じの木村佳乃さんを見られるのはお得感あり。どちらかというと女優役というイメージではなかったのですけど、ちゃんとはめてきます、さすがです。
ストーリー的にはやや定番的かと思いますが、かちっとつくられておりました。原作がもう定番ですからね、あんまり無理せず、むしろ安心して見られる感じです。

「俺なら」。木村さんと中越さんがケンカするシーンがキャットファイトみたいですごくいいんですが、いっそのこと外に出して泥レスにして欲しくなっちゃいます。まぁ、これは妄想で補完すべきことなんですが(笑)。
振り返ると、なんか象徴的なワンシーンが欲しいなという気もしたり。
ちなみに重箱系のコメントで申し訳ないですが、映写機が新しすぎですね、きっと。

思ってたよりかは地味に公開されていたのが惜しいです。館数はそこそこいっていたような気はしましたが、トピックスがないというか。このクラスの映画が一番宣伝難しいのかしら。そんな中、ホラーと少し軸をずらしたポスター写真が素敵です。
【2008.11.27 Thursday 03:38】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(1) | - | - |
「デトロイト・メタル・シティ」コメデイなのにライブシーンがいい
正直、日本映画のライブシーンって撮り方がよくなかったので、音楽映画とはいえ、コメディ系作品でここまでやってくれるならいうことなし。箱は小さめとはいえ、迫力がありました。

監督の李闘士男さんと脚本の大森美香さんって、今後注目すべき二人だと思っていて、90年前後における金子修介監督と一色伸幸脚本のような勢いを感じます。

李闘士男監督は昨年テレビ「ガンジス河でバタフライ」が初視聴で、この時はクドカン脚本の濃厚さとこの監督のノリがちょっと別の方向での笑いを求めている感じがもったいなかった。またこの時の主演の長澤まさみさんはがんばってはいたし、本人の魅力全開方向で書かれているホンのようでしたが、他のテレビドラマよりはいいけど、それを消化しきれているかというとややきつかったかなと。

今回も松山ケンイチさんの魅力全開方向なんですが、この二人の勢いを逃さず松山さんがキャッチしているので、コメディとして成立しています。コメディはこの成立させるというのが難しくて、企画としては簡単そうに思えても、非現実的なことに流されてしまいがちなんですよ。それをセーブするというか、そんなのがうまかったような気がしました。

また、ちょいコメディな作品で場数を踏んでる加藤ローサさん、大倉孝二さん、もちろん松雪泰子さんの健闘も大きく、特に松雪さんは「白鳥麗子」を知っている世代としてはあの大笑いが聴けるだけでもおトク感があります。

「俺なら」的には些細なんですけど、クライマックスの走りでエキストラの配置の仕方とかにどうしても予算を感じてしまうのが残念です。ライブシーン集中なのでしょうがないですけど、近づくにつれて序々にファンが増えていく感じでなく、割りとごっそりなんですよね。

大きな驚きはないですが、きちんとうまく撮られたコメディでした。疲れている時にいいかも。
【2008.10.13 Monday 00:08】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「蛇にピアス」過度の期待は禁物、でも吉高さんでよかった
「蛇にピアス」に限らないですが、映画で描く渋谷は相当やばいところって印象がありますなぁ。渋谷に通っている私には実感できないんですけど、ダーク渋谷が色々あるんでしょうね。

渋谷を舞台にした映画で時々感じるのが、ここで待ち合わせしないだろみたいな現実的な立地とのギャップや撮影のしやすさでロケ地が選ばれているようなことが私なりの渋谷感であったりするのですけど、本作はそれがあんまりなく、はじめて会うのはTSUTAYA前みたいなリアリティ(これがハチ公前だと本作のキャラじゃないんですよ、ちょっとの違いなんですが)がいい感じです。

話題の吉高由里子さんの体当たり演技(裸になると体当たりって…まぁいいか)は、新人とは思えぬ風格を見せつけ、裸にならなくても新人賞はあげたくなる感じですが、芝居においても、エロにおいても過度の期待は禁物。でも、やや古臭い描写(オープニングとか)もあるけど作品メッセージとしての新鮮さは吉高さんによってなされている気がしてここは注目したいです。

ネタバレしすぎるのでぼかして書きますが、人を殺した(または殺したかも知れない)人を愛せるというのは、色んな所でやられているモチーフなんですが、吉高さんがやると、今風な恋愛風景として再生されて輝くんですね。これは作中のキャラの影響もかなり強いんですが、この映画のヒロインが吉高さんでよかったと実感します。また演出パワーもそこに集中して投下されている気がします。

「俺なら」としては、サスペンスや逃亡劇としての要素を持つストーリーであるのにかかわらず、それが効いてこないのが見てて悔しいかも。最初に事件が起ってから後は、いつ捕まるかというサスペンスの中であらゆる事が起っていくんですが、サスペンスが狙いもあるとはいえ忘れ去られすぎて、崖っぷちでおこるドキドキが持続していかない気がしました。ジャンルは違いますが「ラスト・コーション」とかはそういう崖っぷち感がエロシーンまでも盛り上げたりしていますしね。

とはいえ、見て損した気にはならない、きちんと演出された映画でした。

【2008.10.07 Tuesday 23:25】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「窓辺のほんきーとんく」80年代のにっかつ好きにはたまりません
相変わらずな世界を邁進する堀井監督の本格的な劇場2作目です。やはり堀井監督が影響を受けているであろう80年代のにっかつ(←ひらがなのね)あたりのダメ人生を描くトーンは健在。6帖の畳部屋に吉沢明歩さんがいるだけの絵でぐっときます。

エロ描写については正直「蛇にピアス」よりえっちくない。babyまでやるのはないけど、「ラストコーション」くらいは見たかったという意見もあるでしょう。でも一般映画にしないと劇場かけられないとかあるからしょうがない。というのと吉沢明歩さんをそこまでエロく扱わないのも映画としての姿勢としてはありだと思うのでOKとしましょう。

ただ、ひとことだけいわせていただきたい。
自主映画裏側モノをつくっている「俺なら」としては、映画って見せるところまで描く、というのは自主映画出身監督としては痛烈に意識したいと思うんです。「1980」だって「マジックアワー」だって、未完全なものかも知れなくてもスクリーンに映し出される映画の姿を見せていますしね。拙作「スプリング★デイズ」も携帯転送ですけど見せるのがクライマックスになっています。
それがないのが何だか淋しい気がして仕方ありませんでした。

とはいえ、社会の狭間に生きる何も持てない若者にちょっとだけ清涼剤を注ぎ込むような映画なので、ほんとは80年代のにっかつを知らない世代に見て欲しいと思います。
【2008.10.04 Saturday 16:12】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「ぐるりのこと。」あの10年を思い起こさせるすごいいい映画、木村多江も見放題
まず第一印象は、リリー・フランキーさんの芝居がうまいのに驚きました。自然なんです。ただ、木村多江さんとの二人芝居とかで長いシーンとかになると、木村さんのテンションに引っ張られてバランスが悪くなる瞬間もなくはないです。

映画のシナリオを学んだ時、人が知らないものを描くのも映画の企画のフックになるようなことを教わりましたが、私の場合、ここんところ仮想的な世界観に振ってしまうことが多くて、まぁ、こういうのが企画が通らない一要因になっているのかも知れません。

本作の法廷画家とは、そういう点で見事にいいところついてくるなぁと。人の愛憎を観察できる立場ですから。で、いてそこにスポットを当て過ぎずに、本人のドラマが別にある。それはバブル崩壊後の所謂「失われた10年」にほぼ符合し、観客にとっても10年の時の流れを思い起こしてしまうような構造になっています。
ある意味、たかが夫婦の10年のホームドラマなのに、新鮮な切り口によって、こんなに輝く映画になるということが思い知らされました。

また、いろんな表情の、というか状態の木村多江さんも見れて、またこれがたまらない感じです。日本画をやってそうなタイプに見えるのがよく、1作でこれだけ多彩な感情を演じれる本人の楽しさも強く伝わってきます。
さらに、木村さんの精神状態が後半復活してきた時からの映像に出てくる色の使い方も素敵でした。卵の黄色はやられました。

「俺なら」は絶句。
良く考えられたすごいいい映画でした。
【2008.10.01 Wednesday 23:10】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「闇の子供たち」口コミで広めたい
今、劇場が足りないくらい日本映画はつくられ続けているといいます。が、正直いって政治的配慮とか商業的な配慮によって、ずしりと心に残る作品というのは数多くなく、そういう意味で果敢な挑戦をした作品でした。その面だけでも存在価値のある名作で、この規模感だからできたうまいつくりを実践した作品だと思います。

やはり印象的なのがタイの子供たちを捉えたドキュメンタリーをも思わせる映像で、これが失礼ながら、日本の俳優陣と比べると圧倒的に語りかけてきます。もちろん日本の俳優陣もそれを戦略的に捉えているのでしょう。泣いたり叫んだりというシーンはありますが、比較的いいところを見せる芝居というよりかは、抑えたというか、泥臭い芝居にしないようにしているようでした。

シナリオの特にセリフの伏線の引き方が秀敏で、わかりやすくするためのイメージカットの多用はくどさはあるとはいえ、映像学校で講師を続けていたなら見本として提示したいくらいのうまさでした。

「俺なら」として気になったのは、最後にエピソード的に出てきたお客が、全部そこに集結して、一網打尽になっていること。カタルシス的にはOKなんですが、実際ありえないと思ってしまうし、ホテルでことを行っていた日本人の客ははずした方がリアルさ、テーマからいってよかったのではと思いました。

そのように些末な問題はいくつかありますが、ともかく、全体的には闇を描いた映画として、圧倒的なメッセージをもって私たちの心に迫ります。口コミで広めたいいい映画です。

【2008.09.28 Sunday 15:59】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
「20世紀少年」ダイナミズムを放棄し、映画の終わりがはじまる
漫画そっくりにつくりあげる、満足度の高いキャスト、魅力的ストーリーなど、監督や製作スタッフの皆さんの様々な挑戦には敬意をあらわしたいです。しかしながら言いたいことも多いかなぁ。原作を読んでらっしゃる方には、実写で見れることのワクワクはあるのでしょうけど、未読の私にとっては、地球の終末を描いたこれだけのパニック作品のはずなのに、そういうリアルな興奮が感じられなかったというのが正直なところでした。
これは漫画を真似するあまり、映画がその特有のダイナミズムを放棄した、つまりは「映画の終わりがはじまる」作品になってしまっているのではないでしょうか? 漫画への敗北が前提でシナリオが進められていて、映画の持つ力を信じていない気がしてしまいます。

「俺なら」としては、大きく二つの問題提議をしたいです。
ひとつはメインキャストまわり。テーマ的にはこのメンバーたちが、子供の頃のワクワクする終末戦争の妄想に戻っていく「夢を思い出す」話なので、様々な現象が起こる前は、もっと大人の駄目さというか寂びれた感じが出ていてもいいのではと思います。唐沢さんまわりは比較的丁寧に描かれていたような気はしますが、他のメンバーが唐沢さんに加担していく理由がよくわからなく進んでいきます。
もうひとつは、とにかく世の中がパニクっていない。ダイナミズムと関連しますが、ロンドンなどの世界各地のシーンが結果だけだし、コマ落としの都市の風景でニュースの声だけ伝えるのような誰でも撮れそうな絵が羅列されて終末だと言われても納得できません。そういえば「デビルマン」もそんな感じだったっけ。燃えてるのはコンビニくらいで、羽田も国会もCG爆破でこういうところに被害にあう乗客や逃げる国会議員の姿がないからリアルに迫ってこないんですよ。つまり誰も困っているように見えないんですよ。

とはいえ、この漫画に敗北試合をした映画のラストシーンの少女の走りに、はじめてこの物語というより映画というジャンルの希望を見いだすことはできます。第2章で映画を取り戻して欲しいです。
【2008.09.15 Monday 14:22】 author : koshiy2010 | 日本映画2008 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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